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リコの書くブログ030

高度好塩性細菌(以下ハロ(Halobacteriumだから)のべん毛は、電子顕微鏡で観察します。
基本的には液体培地で培養した菌を遠心分離機にかけて分離、染色して顕微鏡でみるという作業になります。通常の菌はこれでOK。ところが、ハロちゃんてば、培地の中にえらく塩が入ってるんで、電顕でみると塩の結晶ばっかり見えてしまいます。仕方ないので、精製水でいったんハロたちを洗うんですが、もともと高濃度の食塩水の中にいるやつらです。洗うと今度は浸透圧の関係で一瞬で破裂するんです、跡形もなく。菌本体だけでなく、べん毛もなくなる。ではどうするか。まず、ハロを固定し、そのうえで塩を洗い落としてから染色するという、そういう形になります。
でも、これができないのです。いろんな固定法を試しました。が、無理。暗視野顕微鏡などで菌が動く様子などは観察できても、べん毛を電顕で見ることができなければ、私の研究はすすめられません。卒論は、ハロの観察(増え方とか、泳ぎ方とか、全体像)を調べればよかったからそれで済んだのですが、大学院での研究はどうしてもべん毛基部を観たかったので、この課題をクリアする必要がありました。数回、奇跡的に写真が撮れるんですが、条件を確立できないのです。実験は再現性が必要ですから、院の2年間はここに費やされることになりました。今は研究が進んでべん毛基部の回転モーターまで解明されているようですね。私はマスターで止めてしまったので今もどっかでハロちゃんたちが研究されていることが分かっているだけでもうれしいです。
私が実験していたころは、私と、ハワイの研究室と、ドイツの研究室しかハロのべん毛に関する研究はされていませんでした(論文がでてなかった)。
なんとか電顕で写真が撮りたい私ですが、うちの大学の電顕は基本的には別の研究室が使っているもので、空いている時間をお借りして使う感じ。そうしたら教授が別の大学の先生に話をつけて、3日間みっちりそこの電顕を使わせていただけることになりました。
別の大学というのが、今の旦那が所属していたところで、(大学院からうちの大学にきたので)はるばる宇都宮まで遠征です。大学に宿泊施設があって、そこに泊めていただくので、本当に朝から晩まで顕微鏡を観ていられるという、幸せな時間でした。まあ、途中奴(旦那)が様子を見に来たりしてすごく迷惑だったのですが。だって邪魔なんですよ。大学の中を案内とかしてもらう必要なかったし。自分は懐かしかったんでしょうけど、私は電顕だけみてたらよかったのです。
で、その3日間の間その教授といろんな話をしていたのですが、結構スタンドプレイをする方で、なぜか「よし、じゃあ今度吉田さんをハワイの研究室で研究できるように話をつけてあげるね!」という話題に。冗談だと思って大学に帰ったら、うちの教授がすごく不機嫌な顔で、「君ね、ハワイの研究室に行くんだって?どういうこと?」と言われてしまいました。「行きませんよ。冗談じゃなかったんですか?」と言ったら、「あそ。行かないならいいの。僕ね、勝手にそういうことされるの嫌いだから。君をドイツの研究室のほうに送ろうかと本気で思ってたんだよ」とのこと。ひえー? なんで私の知らない間にハワイだのドイツだのって話になるのよ!と本気で焦りました。
よく考えれば当たり前のことなんですが、世間を知らなくて、縄張り意識だの、そういうことわからなかったのです(とはいえ、今もあんまりそういうのわからない)。うっかり、「いいですね~」などと言ってはいけないということを学びました(^^;)
ちなみに同学年の旦那は、サルモネラのべん毛基部についての研究。サルモネラはその時点でかなり研究が進んでましたから、ちゃんとDNAまでたどり着いていて、うらやましかったです。私は結局DNAまでたどり着かなかった。それは今でも残念に思っています。
なにしろ文系から理転しての遺伝学。勉強についていくのに必死でした。大嫌いだったはずの数学も、それなりに食らいつけば何とかなることも分かりました。つまり、意味のない勉強が嫌いだったと。例えばなぜ「対数」を理解しなければならないのかという課題について。今だって、wikiで「対数(たいすう、英: logarithm)とは、ある数 x を数 b の冪乗 b として表した場合の冪指数 p である。この p は「底を b とする x の対数(英: logarithm of x to base b; base b logarithm of x)」と呼ばれ、通常は logb x と書き表される。」とか読んでも全然頭に入ってこないけど、バクテリアの増殖の観察をするのに必要だからと思えばできるわけです。(バクテリアには指数関数的成長期があるので)
話は違いますが、私は数学のテストで一番嫌いなのが、図形の線上を動く点PとかQの問題です。台形や三角形の上に点があるのも意味わかんないのに、それが規則的に動く。動いたうえで面積を求めるとか、動くなよ!とか思います。
ストーリーがないものが嫌いです。反対によく話題になるA君は時速〇kmで・・というやつは好きでした。A君がどんなに足が速くても、遅くても、信号無視でも、ストーリーがあれば想像できるので。ちなみに国語の試験は長文が好きであり、苦手でありました。なぜなら問題文を「物語」として読んでしまい、世界に入り込むことがあるからです。問題読みながら泣いたりとかよくありまして、集中できないのです。
数学と同じ理由で、Macintoshiの操作も覚えました。授業ではBasicを習い、社会学ではPC98だったのに、いきなりのMac。さっぱりです。しかし、理系はMac。やらないわけにはいきません。メモリってなに?HDDってなに?と思いながら初めてのノートPCを購入しました。なんとメモリが16MBだよ。なんだ、MBって。と思うけど、その時はそれが最先端。アルバイトでためた20万円ちょい。高い買い物だったけど、とっても役に立ちました。それから今まで沢山のPCを購入してきたけど、最初に買ったあのノートパソコンは今でも捨てられずに手元にあります。Excelは便利だから使ったけど、Wordよりも一太郎のほうが好きでした。今でも一太郎の半角罫線は秀逸だと思っています(あれ?ハロの話じゃなくなった?)。