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リコの書くブログ034

勉学の話に戻ります。(大学時代は6年間もあったので、書くことが沢山ありすぎて・・しばらく社会人にはなれない感じです)
主なゼミは分子遺伝学でしたが、いわゆる裏ゼミは、中村桂子先生の「社会生命科学」でした。中村先生の授業は基本的に論文を読んで講義、討論という形のスタイル。特に実験とか、そういうことはありませんでした。ですが、ちょうどその当時話題になったリチャード・ドーキンス氏のSelfish Gene(『利己的な遺伝子』)の話や、ヒトゲノム解析計画(まだ立ち上がったばかりだった)など、研究室内だけで完結しているようにみえる生物学の世界が社会に与える影響などについて学ぶことができました。何度かほかのところでも書いているのですが、先生の講義の中で忘れられない一言があります。

「科学者は、自分の研究を深めることだけでなく、専門的な知識をそれを知らない一般の人々に正しく、わかりやすく伝えることも使命である」

私は中途半端な理系で、将来研究者として生きていくことはできないかもしれない。でも、専門的な知識を身につけたうえで社会に出たとき、よくわからない言葉をわかりやすく伝え、決して自分の生活とかけ離れたものではないのだと思ってもらうことならできるのではないかという、「専門職ではないけれど専門的な生き方」という視点を得ることができた最初の場面です。
結局私は研究者という道を選ばなかったのですが、最終的にその選択をしなかった自分自身を悔やまないでいられるのは、この言葉に支えられているからだと思います。
そう思ってみると、ITの世界も、教育の世界も、政治の世界もみんなそうなんだと思います。専門家が専門的な言葉を使っていうことなんて簡単なのです。
それを聞いてわかったふりをしたり、わからないから避けてみたりでは世の中のことが「自分のこと」にならない。専門家とそうでない人との間の通訳をする立場の人間が必要なのではないかな、どんな分野にもそういう人がいたらいいなと思いますし、自分が今抱えている分野に関してはそういう人でありたいと考えています。